この場合の公的機関が対象であり証明力が必要なため、業務としては「不動産鑑定評価書」になることが多いと思われますが、条件次第では「価格等調査」にて対応可能になる場合があります。詳細はお問い合わせください。
◆相続税評価に対して対象地が山林であることの証明としての鑑定評価
市街地にある山林でも相続税評価は画一的に行われるので、場合によっては課税評価額が多額になることもあります。
この場合に山林としての利用価値以外ないことを証明できれば相続税を抑えることもできます。
◆相続税の算定にあたり、相続税評価では反映されない事情がある場合の評価
家屋は固定資産税を基に課税されますが、建物は制度上、築年数が経過すればするほど課税評価は割高になります。
土地は、一定の基準に従って算定された評価額をもとに課税されます。
統一した方法で算定されるという意味で公平ですが、土地は個別性が強いため全ての土地について画一した基準により評価することには無理があり、土地の用途、規模、形状等によっては相続税評価額が適正な時価と反映しない場合もあります。
規模の大きい土地、形の悪い土地、水道や下水管が他人の土地を通っている場合等の特殊な画地は、一般的にその傾向が強く不動産鑑定評価が役に立つ典型的なケースです。
◆遺産分割協議に伴い、広大な土地を、同価値となるように相続人に配分するための評価
単純に面積を等分しただけでは、土地の形状、接する道路の状況により土地の有効性が変わってきますので後々争いの元になることもあります。その予防として評価が役立ちます。
◆相続時に長男は家を継ぎ、他の兄弟は現金、預金等を配分する場合に後々争いにならないための評価、または争いになったときの解決手段としての評価
「長男は家を継ぐ」という習慣はあると思います。例えば長男は不動産を相続し、次男は現金等で清算するということも多々あります。
この場合の相続税評価を基に分配して、これで円満に終われば問題ないのですが、法律上は兄弟なら相続は平等が原則なので、次男が「長男の継いだ不動産の価値はもっと高いはずだから清算金では不平等だ」と主張することがあります。
このまま話がこじれると最悪裁判にまでなりかねません。
このような場合の予防措置、またはなった場合の解決手段として鑑定評価は有効です。
◆親族間、会社と役員間等の特殊な関係人との取引のための評価
親族間や会社と役員間での不動産の売買の際に、時価と取引価格とが大きく違う場合、その差額に対し贈与税が課税されます。
このような課税のリスクを避けるため、適正価格の把握及び取引価格が適正であるとの証明資料として鑑定評価が役に立ちます。
◆会社を立ち上げるため、所有する不動産を現物出資したいための適正価格の評価
資本金の出資はお金だけだと思っていませんか?
お金以外の「モノ」を出資して資本金を増やす方法があります。それが現物出資です。
それを不動産でする場合には「不動産価格の相当性」について弁護士がこれを証明することになりますが、この場合には鑑定評価が基礎となります。
◆土地や建物を借りている人が、地主や大家からの賃料値上げ要求に対する反対意見としての評価、またはその逆の場合で借りている人から賃料値下げの要求に対する反対意見としての評価
家主あるいは借家人が、家賃の値上げや値下げを請求する権利は、法律で認められています。土地・建物価格の高低、公租公課その他の必要諸経費等の増減、比隣賃料の変動その他経済情勢の変化等により、今までの家賃が不相当となったときに、相当な額まで改定を請求できます。
この賃料改定をしようとする場合には鑑定評価書を準備・添付して「相当な額」の家賃を表示して相手方(賃貸人)との交渉に臨む方が、より効果を生み出します。
また、当初から交渉・協議が進まない場合は、将来的に調停・訴訟となる可能性もあります。調停や訴訟となると費用も時間も掛かりますのでその予防措置としての評価が有効です。
もし訴訟等になった場合でも、その対策としての鑑定評価書(訴訟場面でのいわゆる証拠力補強の役割を持つ)を事前に準備しておくことも必要になってくるのです。