こんな相談がありました。広い土地を分筆して、身内で分け合ったらしいのですが、1画地だけ無道路地にされたそうです。
建築基準法により道路に面していないと建物の建築ができないのはもちろんのこと、道路に面していないから土地に入れないというのです。
しかし、民法には名称は変わりましたが囲繞地通行権というのがありまして、他人の土地を通行することができます。このときはもっとも損害の少ない場所を通り有償が原則なのですが、分筆等による場合は無償で、つまりはタダで分筆前の土地を通ることができます。
今回の問題は、この無道路地と道路との間の土地を所有している人が、法外な値段で無道路地の所有者に売りに来たのです。この場合上記囲繞地通行権を主張すれば通行に関しては問題ないし、ましてや法外な価格提示をして、買わないならここは通さないなど言っていては権限乱用の可能性も出てきます。鑑定士の立場からみれば、この場合の土地の価格はいわゆる限定価格といって、隣接の無道路の土地の価値と合算した価格以上は絶対に価値は生じません。それを校外の土地なのに坪数百万円でふっかけられたそうです。法的にも価格的にもこのような取引には応じる必要はなく、きちんとした対応をするべきです。
こんな取引もまだまだあるようですが、このような悩みにでも気軽に相談されるような立場に不動産鑑定士は成るべきだとつくづく思いました。